カスタムシルバージュエリーのワックス鋳造プロセス:手順、ワークフロー、重要な考慮事項

ワックス鋳造、またはロストワックス鋳造は、カスタムシルバージュエリー製作において非常に精密で不可欠な技術です。従来の成形方法では実現が難しい、複雑なデザインや精緻なディテールを表現することができます。ロストワックス鋳造の工程には、ワックスツリーの作成、成形工程、金属の溶解、そして完成品の洗浄など、いくつかの重要な段階があります。この記事では、ワックス鋳造工程のワークフローを詳細に解説し、特に重要なステップである鋳型注入(「倒型」)と、各工程における重要な考慮事項について説明します。

I. ロストワックス鋳造プロセスの概要

ロストワックス鋳造は、非常に精巧で複雑なデザインを制作できるため、何世紀にもわたってジュエリー製作の基本的な手法として使用されてきました。この技法には以下の段階があります。

  1. ワックスモデルの作成– 作品の原型はワックスで作られています。
  2. ワックスツリーの構築– いくつかのワックスモデルが接続されて「木」を形成します。
  3. 型の準備– ワックスツリーを石膏などの耐熱素材で覆うことでシェル型が作成されます。
  4. ワックス除去– 型を加熱してワックスを溶かし、希望のデザインの形状の空洞を残します。
  5. 金属溶解– 金属(銀など)が溶けて液体になります。
  6. 金属鋳造– 溶けた金属を鋳型に流し込んでジュエリーを作ります。
  7. 殻の除去– 金属が冷えて固まったら、シェルを取り除きます。
  8. 仕上げ– 作品は洗浄され、磨かれ、残っている欠陥はすべて除去されます。

これらの各ステップは、プロセスの成功を確実にするために、正確かつ慎重に実行されなければなりません。鋳型注入工程(倒型)は最終製品の成形において重要な役割を果たし、最終的な鋳造品が所定の仕様を満たすようにするためには、細部にまで細心の注意を払う必要があります。

II. 鋳型注入工程の詳細なワークフロー

ロストワックス鋳造における鋳型鋳造工程は、ワックスツリーの準備、鋳型の製作、鋳型の焼成、そして鋳型への金属の注入など、複数の工程から成ります。以下は、各工程の詳細な内訳です​​。

1. ワックスツリーの作成

ロストワックス鋳造工程の最初のステップは、ワックスツリーの作成です。これは、ワックスを使ってジュエリーの原型を成形する工程で、この原型は後に金属鋳造の型を作る際に使用されます。

  • 手順: 希望するジュエリーのワックスモデルは、手彫りまたは射出成形によって作製されます。複数のワックスモデルを中央のワックス「スプルー」に取り付け、「ワックスツリー」を形成します。これにより、溶融金属が各モデルに均一に充填されます。
  • 考慮事項ワックスモデルの精度は非常に重要です。ワックスに欠陥や気泡があると、最終的な作品に欠陥が生じる可能性があります。ワックスモデルにひび割れ、隙間、凹凸がないように細心の注意を払ってください。さらに、湯口のサイズと各ワックスモデルを木の上に配置する位置は、鋳造工程で金属が均等に分布するように慎重に計画する必要があります。

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2. 石膏の型を流し込む

ワックスツリーが完成したら、次のステップは型を作ることです。通常は石膏のような素材を使って型を作ります。この型で最終的にジュエリーの原型が形成されます。

  • 手順ワックスツリーをステンレス製のチューブまたはケースに慎重に入れ、特殊な石膏または石膏スラリーをツリーの上に注ぎます。この石膏は石膏と水を混ぜて作られ、ワックスモデルの精巧なディテールすべてに浸透できる液体スラリーを作り出します。その後、石膏型を数時間(通常6~12時間)置いて硬化させます。
  • 考慮事項石膏スラリーは適切な粘度になるまで注意深く混ぜる必要があります。スラリーが濃すぎると均一に流れず、気泡が残る可能性があります。一方、薄すぎると型が脆くなり、簡単に壊れてしまう可能性があります。さらに、型が完全に硬化するまで、十分な時間、静置する必要があります。この工程では、型内の気泡を取り除くために掃除機をかけることも必要です。
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3. カビを掃除機で掃除する

石膏を流し込んだ後、型枠内に気泡や隙間が残っていないことを確認することが重要です。これは通常、型枠を真空状態にすることで行われます。

  • 手順型は真空チャンバー内に置かれ、石膏から空気が抜かれ、ワックス型の隅々まで空気が行き渡ります。これにより、型の中に空気が閉じ込められ、最終的な鋳造を妨げるような事態が起こらないようにします。
  • 考慮事項真空工程は、金型の損傷やひび割れを防ぐため、慎重に行う必要があります。真空チャンバー内の圧力を監視し、金型を適切な時間チャンバー内に設置することで、空気が完全に排出されるようにしてください。
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4. 型を焼く

石膏のシェルが硬化した後、鋳型を焼成してワックスを除去し、鋳込みの準備を整えます。この工程は、鋳型に残留ワックスや水分が残らないようにするために非常に重要です。

  • 手順鋳型は窯またはオーブンで通常800℃から1000℃(1472°Fから1832°F)の温度に加熱されます。高熱によってワックスが溶けて鋳型から流れ出し、空洞が残ります。この焼成工程は鋳型を完全に乾燥させ、鋳型を鋳込む際に溶融金属に耐えられるようにする役割も果たします。
  • 考慮事項ワックスを完全に除去するために、焼成温度と時間を厳密に管理する必要があります。温度が低すぎると、残留ワックスが型内に残り、最終的な金属部品に欠陥が生じる可能性があります。また、焼成時間も最適化し、型が過熱することなく所定の温度に達するようにする必要があります。過熱すると、ひび割れなどの問題が発生する可能性があります。
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5. 金属を溶かす

型が焼かれてワックスがなくなると、次のステップは、通常は銀などの金属を溶かして型に流し込み、ジュエリー作品を作ることです。

  • 手順金属はるつぼまたは炉の中で適切な温度まで溶かされます。例えば銀の融点はおよそ962℃(1764℉)なので、鋳型に流し込む際に金属が液体状態になるように、この温度以上に加熱する必要があります。
  • 考慮事項最終製品の高品質を確保するには、金属の純度が非常に重要です。不純物や低品質の金属は、最終製品に悪影響を及ぼす可能性があります。また、金属の過熱や過熱不足を防ぐため、溶融温度も正確に管理する必要があります。

6. 金属を流し込む

金型を準備し、金属を溶かしたら、次のステップは溶けた金属を金型に注ぐことです。

  • 手順溶けた金属は、予熱された鋳型に慎重に流し込まれ、ワックスツリーによってできた空洞を埋めていきます。金属が均一に流れ、鋳型の細部まで完全に充填されるように、適切な温度と速度で流し込む必要があります。
  • 考慮事項注湯中は、溶融金属の温度を一定に保ち、急冷による欠陥発生を防ぐ必要があります。注湯プロセスは、気泡や充填不良を防ぐため、安定した状態を保つ必要があります。さらに、鋳型を予熱し、金属が鋳型表面に接触した際に急冷されすぎないようにする必要があります。急冷されると、ひび割れや空洞などの鋳造欠陥が発生する可能性があります。
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7. 冷却とシェルの除去

金属を流し込んだら、金属がジュエリーの形に固まるように型を冷やす必要があります。

  • 手順鋳型を10~30分ほど冷ました後、冷水に浸して「シェル除去」または「シェル割」と呼ばれる工程を行います。この工程により、石膏のシェルが剥がれ、金属鋳物が露出します。
  • 考慮事項金属が均一に凝固し、ひび割れなどの問題を引き起こす可能性のある熱衝撃を受けないように、冷却プロセスを制御する必要があります。冷却後、鋳型は金属から慎重に取り外され、最終的な鋳造品が残ります。

8. 清掃と最終仕上げ

金属が冷えて型が取り外された後、ジュエリー作品は洗浄と仕上げの作業が必要となります。

  • 手順作品は、30%の塩酸溶液に浸して「酸洗い」を行い、残った石膏を除去した後、高圧水で残りの汚れを洗い流すなど、複数の工程を経て洗浄されます。その後、研磨、平滑化を行い、欠陥があれば修正します。
  • 考慮事項金属に石膏やワックスが残らないよう、洗浄は徹底的に行う必要があります。石膏やワックスは外観を損なう可能性があります。研磨や仕上げは、デザインの細部を損なわないように慎重に行う必要があります。

9. 切断と乾燥

鋳造プロセスの最終ステップには、余分な材料を切り取り、乾燥させ、完成した作品を計量することが含まれます。

  • 手順金属製の木は丁寧に切り取られ、余分な金属は切り取られます。その後、乾燥され、最終的な品質管理のために計量されます。
  • 考慮事項このステップにより、余分な金属がすべて除去され、最終製品が目的の形状と重量になることが保証されます。

III. ロストワックス鋳造プロセスにおける重要な考慮事項

ロストワックス鋳造を成功させるには、工程の各段階での精度が求められます。最終的な成果を左右する重要な要素がいくつかあります。

  1. ワックスモデルの品質ワックス模型に欠陥や気泡があると、最終的な作品に直接影響します。ワックスにはひび割れがなく、模型は精密でなければなりません。
  2. 真空とシェルの品質: 気泡や隙間が生じないように、掃除機をかけたり、シェルを作成したりするプロセスを慎重に管理する必要があります。
  3. ベーキングと温度制御: ワックスが完全に除去され、型が完全に乾燥するように、焼成温度を慎重に調節する必要があります。
  4. 金属の品質: 耐久性があり、見た目も美しい最終製品を実現するために、高品質の金属のみを使用する必要があります。
  5. 注ぎ精度: 気泡や充填不足などの欠陥を防ぐために、注入プロセスは安定して制御される必要があります。

IV. 結論

カスタムシルバージュエリーにおけるロストワックス鋳造工程は、複数の複雑な工程から成り、それぞれに細部への細心の注意が求められます。ワックスツリーの作成からジュエリーの最終的なカットと研磨まで、すべての段階で精度と専門知識が求められます。定められたワークフローに従い、各工程に含まれる重要な要素を考慮することで、ジュエラーは美的要件と機能的要件の両方を満たす高品質のカスタムジュエリーを製作できます。鋳型の成功は、金属が均一に流れ込み、デザインの複雑なディテールを埋め尽くし、完璧な仕上がりを実現するために不可欠です。


投稿日時: 2025年3月12日